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仮面ライダージャックス のバックアップソース(No.5)

第一話

異臭が鼻につく。目の前を蝿が横切った。
それからは僅かに煙が出ていた。黒く焼けただれていたが、焦げ臭くはない。おそらく、酸か何かだろう。

俺は大学生。卒業論文を書くために、実験に必要な硫酸を借りてきた。その帰り、俺はそれを見た。顔は酸の効果か、グロテスクに変形している。それを見た俺は、思わず硫酸の入ったバッグを落としてしまった。
運悪く、バッグから硫酸の瓶が出てしまった。
空中で開くバッグ。視界の端で、弾ける瓶。
じゅっ。
脚に激痛が走る。
見ると、すねに濃い雫が一滴がついていた。

その日の夜、取り調べを受けた。あるがままの事実を話したが、どうだっただろう。

あの死体は、顔面を強打した直後に強い酸性の液体をぶっかけられたらしい。死亡時間は俺のいた時間帯、5時前後らしい。警察の見解はこう。俺が見知らぬ通行人の顔面に向かって硫酸の瓶を投げた。全てがそれで説明がつく。
でも、違う。
俺はやってない。
そんな主張も受け入れられず、犯罪者としての人生が待っていた。
弁護士が奮闘してくれて、過失致死として予想していたよりかは懲役日数は少なかった。



今日が出所の日。
乾いた壁を朝日が差した。朝食中に見慣れない顔を見た。
「ううぅ・・・」
突然、そいつは苦しそうに体を曲げる。なんだ?「あああああ・・・!」べりりり。
囚人服の破れる音とともに、そいつは異質なものに変化した。
全身が透明な液体に覆われ、頭から突起が2つ、伸びだす。
ぐちゅり。
不快な音がして、大きな殻が現れた。
それはこの数秒で、人間とは思えない造形の生物となった。
「うわああ!」
至る所で悲鳴が聞こえる。人の波に押されながら、目の端でショッキングなものをみた。
びじゅり、と嫌な音を出して人に向かって、そいつは口から透明な液体を吹いた。
ぐあっ、っと叫び、かけられたヤツが倒れる。
「おい!」
反射的に俺は叫んでいた。それがまずかった。
「ブボオオォ・・・!」低い鳴き声を出しながら化け物はこっちをみた。化け物は頭をぐわ、と引いた。
びじゅり。
そいつはこっちに向かって液を飛ばした。
「うわっ!」
必死で液を避ける。
びじゅり。びじゅり。
化け物は連続的に液を飛ばしてくる。
しかし、避ける時にゴロゴロと転がったため、運良く全て外れた。
「くっそ・・・」
椅子を盾にしながら、逃げようとした。そのときだった。
ぴす、と音がした。背中に僅かな痛みが走る。
一気に意識が無くなりだした。
最後に見たのは、黒いパワードスーツを付けて銃のようなものを構えた兵隊の集団だった。


研究室に声が響く。
「やったぞ・・・これがマスクドライダー・ジャックス・・・!ドラグリオに対抗出来る希望の鎧だ・・・!」
私は目の前の自分の功績を目にして、心の奥底で歓喜した。

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