[[Vintage Technics 愛好会/カセットデッキ]] *Technics RS-690U 仕様 [#rb735eff] |型番|RS-690U| |発売年(発表年)|1976 年(要確認)| |価格|298,000 円(標準価格)| |使用ヘッド|録音: HPF ヘッド&br;再生: HPF ヘッド&br;消去:ダブルギャップフェライト| |使用モーター|キャプスタン用: D.D モータ&br;リール用:コアレスモータ×2| |録音バイアス方式|AC バイアス方式 90 kHz| |消去方式|AC 消去方式| |トラック方式|4トラック2チャンネルステレオ| |テープ速度|4.8 cm/s| |録音時間|往復1時間( RT-60 テープ使用の場合)| |周波数特性|20 - 18,000 Hz (NORMAL)&br;20 - 20,000 Hz (CrO2)| |SN比|54 dB&br;DOLBY IN: 10 dB 改善( 5 kHz 以上)| |ワウ・フラッタ|0.04 % (WRMS)| |入力 MIC&br;&br;AUX&br;LINE IN|入力感度… 0.25 mV (-72 dB)&br;適合マイクインピーダンス… 400 Ω - 20 kΩ&br;入力感度… 60 mV (-24 dB)&br;入力感度… 60 mV (-24 dB)| |出力 AUX&br;LINE&br;THROUGH&br;HEADPHONES|出力レベル… 420 mV (-7.5 dB)&br;出力レベル… 420 mV (-7.5 dB)&br;LINE IN と同じ&br;出力… 0 - 900 mV 可変/ 8 Ω| |>|総合(アンプ部、トランスポート部)| |使用 IC|6(トランスポート部)| |ピークメータードライブモジュール|1(アンプ部)| |使用トランジスタ|87, FET 6 (アンプ部)&br;50 (トランスポート部)| |使用ダイオード|40, ツェナー3(アンプ部)&br;54, ツェナー2(トランスポート部)| |使用整流器|11 (トランスポート部)| |電源/消費電力|AC 100 V 50/60 Hz / 40 W| |外形寸法|幅 480 ×高さ 173 ×奥行 375 mm (アンプ部)&br;幅 480 ×高さ 193 ×奥行 375 mm (トランスポート部)| |重量|8.75 kg (アンプ部)&br;13.5 kg (トランスポート部)| ※カタログ記載データです。 *"RS-690U" 誕生の背景 [#a9271ccf] 「カセット相手に、ちょっとやり過ぎじゃないか」「それとも飛躍では…」―こんな声が聞こえてくるような気がしますので、最初にまず、この点についてテクニクスの見解を述べさせていただきます。 たしかに、この "RS-690U" は、従来のカセットデッキの通念からすると、なにからなにまで次元がちがいます。これはセパレートタイプという形式にも端的に現れています。しかし、これも性能を極限まで追求するためにとられた処置で、単なる見せかけでないことは内容をご覧になればおわかりいただけるはずです。 テクニクスがカセットデッキに対して、とくに性能を重視するのは、本機に始まったことではありません。相手がカセットだからこそ、デッキの性能で、その不利な条件(テープ幅・テープ速度)をカバーしなければならないというのが、テクニクスの一貫した姿勢です。 テクニクスでは、カセットの出現を追うかのように D.D モータの開発に成功していますが、ターンテーブル (SP-10) につづいて、まずカセットデッキにこれを採り入れました。 "RS-2750U" の前身 "RS-275U" ですが、いまから5年前にハイファイ・カセットデッキの基礎を固めていたわけです。このデッキが、カセットの地位を今日あらしめるキッカケになったことは、既に定説になっています。 D.D 方式だけではありません。 "RS-275U" は磁気ヘッドにもメカニズムにも当時としては画期的な素材と技術を導入し、これもまた後続機種に大きな影響を与えました。ホットプレス・フェライトコアによる長寿命・高性能の“ HPF ヘッド”、2モータによる軽快なエレクトロニックコントロール方式です。また、テープの頭出しに便利な“メモリーリワインド”も、このとき既に完成させています。 やがてドルビー NR システムが登場します。テクニクスは早速 "RS-275U" にこれを加え "RS-276U" (現在の RS-2760U )を発表しましたが、このときもやはりドルビーレベル調節器を設け、テストテープを添付するという、正攻法で臨みました。このように "RS-275U" はテクニクスのカセットデッキのベースになってきたわけですが、ここでもう一つ記念すべき機種をご紹介しておきましょう。 "RS-279U" です。このデッキはカセットでは至難とされていた3ヘッド化に成功した。その意味において、このたびの "RS-690U" の基礎を築いた製品ということができます。 カセットデッキの高性能化は着実にオープンリールを追いあげて、コンポーネントの主役の座を獲得してゆきます。ここでスタイル上の転換期を迎えるわけですが、この進路をいち早く示唆したのもテクニクスで、 "RS-676U" がスタイル確立の上でも大きな役割を果たしました。その後、急速にコンポデッキ時代が訪れたのはご存知の通りです。テクニクスでは、このたび第二期製品として、新シリーズを調えましたが、ここでは性能の向上と同時に安定化を重視して、スイッチ素子としてトランジスタを導入するなど( RS-670U 他)キメ細かな仕上げで完成度を高めています。最近のコンポデッキでとくに目立つのは、思い思いのテープ装着方式ですが、テクニクスではあくまでも、性能の安定化という立場から、メカニズムに無理のかからない水平駆動をベースにしています。したがって、テープの装着に関しては、基本的に従来通りになっています。新奇性よりも基本性能を尊重しているわけですが、これも、カセットデッキにおいては性能を優先させなければならないと考えているからです。この点ポータブル型とはハッキリ区別をつけています。デッキに求められる機能は、もっと性能に直結したものでなければならないでしょう。これについては "RS-690U" に装着された豊富な機能がその範を示すことになるでしょう。 テクニクスのカセットデッキについて、概略とその変遷をたどってみたわけですが…これによって、このたびの "RS-690U" が決して飛躍ではなく、着実に積み上げられた技術の成果であり、また集大成であることをご理解いただければ幸いです。 “ D.D 方式”も“クローズドループ方式”も“3ヘッド方式”も、ピークチェックではなく“ピークメータ( DIN 規格に準拠)”も“バイアス調整”も“イコライザ調整”も“テープ残量メータ”も“標準ラックサイズ”も、すべてがここでは妥協のない本来の姿で実現されています。特にアンプとメカニズムを独立させたのは、単にデザイン的な面白さからではなく、各部の性能を極限まで追求した結果のことであります。どれ一つとっても大書されるべき特長ですが、これが本機に集約されているのですから、考えてみれば夢のような話です。 ではつぎに、本機の具体的な特長についてご紹介することにします。 ※カタログからの転載です。 **オーナー、元オーナーコメント [#x77ded16] #comment