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Vintage Technics 愛好会/カセットデッキ/RS-690U のバックアップソース(No.2)

[[Vintage Technics 愛好会/カセットデッキ]]

*Technics RS-690U 仕様 [#z026d286]

|型番|RS-690U|
|発売年(発表年)|1976 年(要確認)|
|価格|298,000 円(標準価格)|
|使用ヘッド|録音: HPF ヘッド&br;再生: HPF ヘッド&br;消去:ダブルギャップフェライト|
|使用モーター|キャプスタン用: D.D モータ&br;リール用:コアレスモータ×2|
|録音バイアス方式|AC バイアス方式 90 kHz|
|消去方式|AC 消去方式|
|トラック方式|4トラック2チャンネルステレオ|
|テープ速度|4.8 cm/s|
|録音時間|往復1時間( RT-60 テープ使用の場合)|
|周波数特性|20 - 18,000 Hz (NORMAL)&br;20 - 20,000 Hz (CrO2)|
|SN比|54 dB&br;DOLBY IN: 10 dB 改善( 5 kHz 以上)|
|ワウ・フラッタ|0.04 % (WRMS)|
|入力 MIC&br;&br;AUX&br;LINE IN|入力感度… 0.25 mV (-72 dB)&br;適合マイクインピーダンス… 400 Ω - 20 kΩ&br;入力感度… 60 mV (-24 dB)&br;入力感度… 60 mV (-24 dB)|
|出力 AUX&br;LINE&br;THROUGH&br;HEADPHONES|出力レベル… 420 mV (-7.5 dB)&br;出力レベル… 420 mV (-7.5 dB)&br;LINE IN と同じ&br;出力… 0 - 900 mV 可変/ 8 Ω|
|>|総合(アンプ部、トランスポート部)|
|使用 IC|6(トランスポート部)|
|ピークメータードライブモジュール|1(アンプ部)|
|使用トランジスタ|87, FET 6 (アンプ部)&br;50 (トランスポート部)|
|使用ダイオード|40, ツェナー3(アンプ部)&br;54, ツェナー2(トランスポート部)|
|使用整流器|11 (トランスポート部)|
|電源/消費電力|AC 100 V 50/60 Hz / 40 W|
|外形寸法|幅 480 ×高さ 173 ×奥行 375 mm (アンプ部)&br;幅 480 ×高さ 193 ×奥行 375 mm (トランスポート部)|
|重量|8.75 kg (アンプ部)&br;13.5 kg (トランスポート部)|

※カタログ記載データです。

*"RS-690U" 誕生の背景 [#k13744f3]
「カセット相手に、ちょっとやり過ぎじゃないか」「それとも飛躍では…」―こんな声が聞こえてくるような気がしますので、最初にまず、この点についてテクニクスの見解を述べさせていただきます。
たしかに、この "RS-690U" は、従来のカセットデッキの通念からすると、なにからなにまで次元がちがいます。これはセパレートタイプという形式にも端的に現れています。しかし、これも性能を極限まで追求するためにとられた処置で、単なる見せかけでないことは内容をご覧になればおわかりいただけるはずです。
テクニクスがカセットデッキに対して、とくに性能を重視するのは、本機に始まったことではありません。相手がカセットだからこそ、デッキの性能で、その不利な条件(テープ幅・テープ速度)をカバーしなければならないというのが、テクニクスの一貫した姿勢です。
テクニクスでは、カセットの出現を追うかのように D.D モータの開発に成功していますが、ターンテーブル (SP-10) につづいて、まずカセットデッキにこれを採り入れました。 "RS-2750U" の前身 "RS-275U" ですが、いまから5年前にハイファイ・カセットデッキの基礎を固めていたわけです。このデッキが、カセットの地位を今日あらしめるキッカケになったことは、既に定説になっています。
D.D 方式だけではありません。 "RS-275U" は磁気ヘッドにもメカニズムにも当時としては画期的な素材と技術を導入し、これもまた後続機種に大きな影響を与えました。ホットプレス・フェライトコアによる長寿命・高性能の“ HPF ヘッド”、2モータによる軽快なエレクトロニックコントロール方式です。また、テープの頭出しに便利な“メモリーリワインド”も、このとき既に完成させています。
やがてドルビー NR システムが登場します。テクニクスは早速 "RS-275U" にこれを加え "RS-276U" (現在の RS-2760U )を発表しましたが、このときもやはりドルビーレベル調節器を設け、テストテープを添付するという、正攻法で臨みました。このように "RS-275U" はテクニクスのカセットデッキのベースになってきたわけですが、ここでもう一つ記念すべき機種をご紹介しておきましょう。 "RS-279U" です。このデッキはカセットでは至難とされていた3ヘッド化に成功した。その意味において、このたびの "RS-690U" の基礎を築いた製品ということができます。
カセットデッキの高性能化は着実にオープンリールを追いあげて、コンポーネントの主役の座を獲得してゆきます。ここでスタイル上の転換期を迎えるわけですが、この進路をいち早く示唆したのもテクニクスで、 "RS-676U" がスタイル確立の上でも大きな役割を果たしました。その後、急速にコンポデッキ時代が訪れたのはご存知の通りです。テクニクスでは、このたび第二期製品として、新シリーズを調えましたが、ここでは性能の向上と同時に安定化を重視して、スイッチ素子としてトランジスタを導入するなど( RS-670U 他)キメ細かな仕上げで完成度を高めています。最近のコンポデッキでとくに目立つのは、思い思いのテープ装着方式ですが、テクニクスではあくまでも、性能の安定化という立場から、メカニズムに無理のかからない水平駆動をベースにしています。したがって、テープの装着に関しては、基本的に従来通りになっています。新奇性よりも基本性能を尊重しているわけですが、これも、カセットデッキにおいては性能を優先させなければならないと考えているからです。この点ポータブル型とはハッキリ区別をつけています。デッキに求められる機能は、もっと性能に直結したものでなければならないでしょう。これについては "RS-690U" に装着された豊富な機能がその範を示すことになるでしょう。
テクニクスのカセットデッキについて、概略とその変遷をたどってみたわけですが…これによって、このたびの "RS-690U" が決して飛躍ではなく、着実に積み上げられた技術の成果であり、また集大成であることをご理解いただければ幸いです。
“ D.D 方式”も“クローズドループ方式”も“3ヘッド方式”も、ピークチェックではなく“ピークメータ( DIN 規格に準拠)”も“バイアス調整”も“イコライザ調整”も“テープ残量メータ”も“標準ラックサイズ”も、すべてがここでは妥協のない本来の姿で実現されています。特にアンプとメカニズムを独立させたのは、単にデザイン的な面白さからではなく、各部の性能を極限まで追求した結果のことであります。どれ一つとっても大書されるべき特長ですが、これが本機に集約されているのですから、考えてみれば夢のような話です。
ではつぎに、本機の具体的な特長についてご紹介することにします。

※カタログからの転載です。

*RS-690U Cassette Tape Transport&br;D.D ダブルキャプスタン・クローズドループ方式による…ワウフラッタ 0.04 %. [#n602756a]
:D.D モータによるダブルキャプスタン・クローズドループ方式|~キャプスタンの駆動には、カセットでは RS-275U で初めて採用した電子整流子型のいわゆる D.D モータを採用しています。巻き取り側のキャプスタンは D.D モータによる直結ドライブになっており、このモータが同時に送り出し側のフライホイール(キャプスタン)をベルトで駆動しています。また、このベルトの伸縮効果で、テープに対する適度なバックテンションが得られます。8極 24 スロットの D.D モータは、毎秒 5.0 回転の超低速で安定にテープを走行させています。振動の無い静かなメカニズムです。ワウ・フラッタは 0.04 % (W.R.M.S.) まで追求されています。
この特性の追求には、測定器の「リアル・タイム・アナライザー」が大活躍しました。この測定器を使えば、周波数別にワウ・フラッタの要因を突き止めることができるわけで、本機の特性もその成果によるものです。
:コアレス型リールモータを採用した3モータ方式|~FF (早巻き)と REW (巻き戻し)には、それぞれ独立したモータを使用しています。モータには当社開発のコアレス型を用いていますが、このモータはコイルだけで回転子(ロータ)が構成されていますから、立ち上がり特性がすぐれています。したがって早巻き用としてはとくに最適です。
一般には高級デッキのキャプスタン用としても用いられていますが効率が高く消費電力が少ないのも特長です。
本機の場合は、ステータにアルニコ磁石を使用しており、フェライト磁石に比べ抗磁力が高いので効率が良く、温度特性もすぐれています。
:IC ロジックによる純電子式コントロール方式|~メカニズムの動作切換には、無接点化の建前から IC ロジックによる純電子コントロール方式を採用しています。
プランジャは〈プレイ〉〈ポーズ及びブレーキ解除〉〈イジェクト〉の3箇所に用いられています。リレーを排除することによって信頼性と SN 比を大幅に改善しています。
操作ボタンには電算機などに用いられているキーボードスイッチを採用しています。 0.8 mm 程度のストロークを持たせて節度のあるクリック感が得られるように、感触面も考慮されています。
なお、操作ボタンには表示灯を付けて、動作状態が一目で確認できるようにしています。
:確実な操作性を誇るコントロール回路|~IC ロジックコントロール方式ですから、操作はどのモードに対しても自由に移行することができます。また、留守録音はタイマースイッチをセット (play/rec) するだけの操作です。別売(近日発売予定)リモートコントロールユニット (RP-9690) によって遠隔操作も可能です。 <EJECT> もプランジャで駆動していますが、電源 OFF の場合は手動でも操作ができます。カセット挿入口の扉には厚手のガラスを用い、エアーダンプによって快適な動作を持たせています。
:テープの残り時間が一目でわかる残量メータ (tape time)|~本機には、テープの残量を時間で指示する精度の高い残量メータを採り入れています。メータの目盛りは C-45, C-60 用と C-90 用のダブルスケールになっており、テープの残りが少なくなるにつれて表示も明確になるよう設計されています。供給リール側のリールモーターから回転速度による電圧の変化を検出して、正確に、テープの残量をチェックしています。目盛りの数字は残り時分を示します。なお、最近の太ハブテープ用のスケールも併記されています。
:再生速度可変(約 &plusmn;5 % )ピッチコントロール|~D.D モータの特長を生かして、テープ速度を変化させるピッチコントロールを設けています。
再生時ツマミの中点、クリックストップの位置で正規の速度 (4.8 cm/s) になりますが、これを回すと約 &plusmn;5 % という大幅の速度調節ができます。この切換にリレーを1箇採用していますが、これが本機に用いられている唯一のリレーです。この他の動作切換は、 IC ロジックでスイッチング・トランジスタを駆動する純電子方式になっています。
:早巻き速度の安定化と自動頭出し装置|~早巻きの場合には、テープが終端に近づくにつれて走行速度が上がってハラハラさせられることがあります。
本機ではこれを、押えるために、最高速度を制限する機能を設けています。
一種のサーボ回路を設けて自動的にモータの回転速度を制限させていますから、終端で異常に速くなるということはありません。もちろん、これはテープを保護する目的です。
本機には、 REW で自動的にストップあるいはプレイ動作に入るメモリー・リワインドおよびメモリープレイを採用しています。これは既にテクニクスでお馴染みの機能ですが、ストップとプレイの両方を採用しているのが特長です。
:HPF ヘッドによる3ヘッド構成 周波数特性 20 - 20,000 Hz (CrO2)|~本機には本格的な3ヘッド方式を採用しています。パットの前、通常の位置に再生ヘッドを、左隣の窓に録音ヘッドを据えています。いずれも HPF ヘッドですが、本機のために新開発したもので、 HPF ヘッドとしても極限の性能が追求されています。
再生ヘッドは 0.8 &micro; のギャップに設計された、ほぼ理想ヘッドの特性に近い特性を備えており、再生時の高域補正をほとんど加えずに、必要な周波数特性を満足させています。このため SN 比および位相特性がきわめて良好です。 20 - 20,000 Hz (CrO2) の特性が発揮されていますが、周波数特性だけでなく、 CrO2 テープに対する歪特性も大幅に向上しています。
録音ヘッドは 5 &micro; のギャップ。リニアリティに余裕を持たせた設計でテープの飽和レベルを完全にカバーしていますから、録音電流を多く必要とする CrO2 テープに対してもヘッドが先に頭打ちになるという心配がまったくありません。このようにそれぞれの条件に合った理想的なヘッドを採用できるのもやはり、3ヘッド方式の有難さです。この有利な条件を最大限に生かした本機の音質は、まさに超カセット級といってよいでしょう。

※カタログからの転載です。

*RS-690U Record/Reproduce Amplifier&br;あらゆるテープ特性を活かす調整機構。 [#h2801a41]
:ダイナミックレンジを極限まで追求した録音アンプ|~録音系では、まず、マイクアンプに PNP 型ローノイズ・トランジスタによる2段直結回路を採用しています。 -72 dB の感度でリニアリティを 55 dB 確保しています。金属皮膜抵抗を起用して、徹底的に低雑音化を図っています。この段のゲインは 30 dB に設計されていますが、これとは逆に -30 dB のアッテネータを設けていますので、このアッテネータを入れると、事実上、この回路を素通りしてボリュームに直接信号が入ることになります。この場合は、さらにリニアリティと SN 比がハネ上がります。
録音アンプの段階では、2段直結回路による本格的なピーキング回路を構成して、低歪の高域補償を行っています。また、低域時定数は 3,180 &micro;S に設定しています。バイアスの発振周波数は 90 kHz になっています。
:SN 比 -132 dB (入力換算)を誇る低雑音・低歪率の再生アンプ|~再生系は、初段が3段直結構成。 PNP 型のローノイズ・トランジスタを使っています。 NPN 型を避けたのは、低域の SN 比を問題にしたからです。
SN 比は入力換算で -132 dB を得ていますが、これはオーディオ用のプリアンプを上回わる性能です。これには、金属皮膜抵抗とカップリング・コンデンサがものを言っています。通常のカーボン抵抗ではこれ自体のノイズレベルが -120 dB 程度ですから、それ以上は望めないわけです。カップリングコンデンサには、松下グループが開発した AF タンタル型を使っていますが、このコンデンサはリーク電流がきわめて少ない(普通品の 1/30 )ために、ノイズに対しても理想的な特性を発揮します。再生アンプでの低域時定数は 3,180 &micro;S に設定しています。
:ヘッドホン専用アンプを備えた出力回路|~出力段にはトランジスタ2石のバッファアンプになっています。したがって接続する相手機器の影響をまったく受けません。
ヘッドホンには専用のアンプを設けています。 SEPP 方式の OTL, ITL アンプで出力にも十分に余裕(最大 900 mV )を持たせています。最近の高インピーダンス型ヘッドホン EAH-300 (125 &Omega;) などに対しても十分な音量が得られます。音量は専用ボリュームによって可変できます。通常のヘッドホン端子は、抵抗が介入しているためダンピングも悪く音質的にも不満がありますが、本機の音質は専用アンプの効果で非常に鮮明になっています。ダンピングファクタも最適値 (10) を選んでいます。
:スイッチ切換時のクリック雑音もシャットアウト|
:エアチェックを考慮した完璧なドルビー NR システム|
:DIN 規格に準拠する本格的なピークメータ|
:テープの楽しさを満喫できる各種の調整機構|
:豊富な入出力端子|
:2 dB ステップのディテント・ボリューム|
:テープ特性をフルに生かす調整機能|

※カタログからの転載です。

**オーナー、元オーナーコメント [#z3ddd63e]

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